2012年11月22日
家庭の歳時記 「新嘗祭(にいなめさい)」
11月23日は「新嘗祭」
いまは、11月23日は「勤労感謝の日」となりましたが、宮中では「新嘗祭」としてお祭が執り行われています。戦前は国民みな「新嘗祭」といっていました。
「新嘗祭」とはその年に収穫された新穀を皇祖皇宗(※1)に捧げ、天皇陛下お自らも召し上がられるお祭のことです。宮中三殿の神嘉殿(※2)で夕の儀、暁の儀があわせて6時間あまりに亘り古式ゆかしく厳かに執り行われるそうです。
全国津々浦々より丹精こめて作られた献穀米が大きな一つの器に盛られご神前に供えられるといいます。
「新嘗祭」の歴史は古く、日本書紀には皇極天皇元年(642)11月16日に行われた記録が残っています。ということはそのずっと昔から、収穫を感謝するお祭りがあったということですね。
11月のこの頃は、南北に長い日本全体で米の収穫が終わる時期です。
すべての田んぼで収穫が済んでから、「新嘗祭」が行われてきたということです。
伺うところによれば、天皇陛下は「新嘗祭」ではじめて新米を口にされるそうです。
御製 一年を顧みて (平成6年)
・ 豊年を喜びつつも暑き日の水足らざりしいたづき思ふ
水不足に苦労をした国民生活の上を思われ、その中で得られた豊かな実りをお慶びになるお心が偲ばれます。
国民の苦労をきちんと知っていて下さるというのは、何と私たちに心の安心を与えて頂いているのかと思います。
11月23日、今日から明日にかけて宮中奥深く、神人一体となって国家と国民の安寧を祈って下さっている天皇陛下のお祭りに、心を澄ませてみませんか。
※1・・・「皇祖皇宗」とは皇祖は天照大御神、皇宗は歴代天皇のこと。
※2・・・「神嘉殿」は皇居内、皇霊殿の西にある建物。新嘗祭・神嘗祭が行われ、その南庭では元日に四方拝を行う。
(written by 椛島)