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2012年10月17日

家庭の歳時記 10月~神嘗祭~

家庭の歳時記
●「神嘗祭」 十月十七日 伊勢神宮

うち続く田は豊かなる緑にて実る稲穂の姿うれしき
 
平成七年に今上陛下がお詠みになられた御製です。
私の家の近くにも田んぼがあり、今収穫の真っ盛りです。
おじいさんもおばあさんもお父さんお母さん、恥ずかしそうに手伝っている子供と、
家族総出の稲刈りの風景。豊かに実る稲穂の風景は、
遠くで見ている私まで幸せにしてくれます。
「稲穂の姿うれしき」とお詠みになられた陛下のお心は、おそらくもっと深く切実なものと拝察いたします。
全国で初穂が実る十月、伊勢神宮では年間を通して最大のお祭「神嘗祭」が行われます。
このお祭は、元正天皇の養老五年(七二一)九月乙卯の日に始まりました。
その後応仁の乱をきっかけに、およそ四百年の中断を経て、明治六年に復活されました。
先日、天皇陛下が皇居内の田で、お手植えの稲の稲刈りをなさいました。
その初穂が勅使によって伊勢神宮に捧げられます。
また、伊勢神宮の神田で神官の手で育てられた稲穂が供えられます。
伊勢神宮の内宮では、十月十六日の午後十時より「夕の由貴大御饌(ゆうのゆきのおおみけ)」が、
また十七日の午前二時より「朝の由貴大御饌」が厳かに行われます。
正午には、天皇の勅使がご神前に幣帛(へいはく・・・五色の絹)を捧げ国家の安泰を祈り、
五穀豊穣を感謝されます。
由貴大御饌では新穀で調理された御飯、新酒を中心にご馳走が供えられるといいます。
尚、外宮においては、内宮より一日前にお祭が執り行われます。
日本の国は、邇邇藝命(ににぎのみこと)が天孫降臨される時、
天照大御神より神鏡と稲穂を授けられ、瑞穂の国として言祝がれました。
そして、毎年行われる「神嘗祭」に初穂を捧げられ、天照大御神に豊年を奉告されるのです。
天皇陛下の「うれしき」というお言葉の深さがしみじみと感じられます。

written by 椛島

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